2013年02月02日

静かに僕は、地平線の彼方を見つめていた。
ああ、どうやら少し眠っていたらしい。
そして今、目が覚めたんだ。
白いクワガタが、僕の足元を歩いているのを見つけた。

ああ、この世界で昆虫を見つけたのはこれが初めてだなあ。
必要最小限のものしかないこの世界で、
クワガタなんてどうでもいいものがいることは、
僕にとってはとても奇妙な出来事だった。

アイルはうずくまって、クワガタをつんつんつついている。
無邪気にたわむれる彼女の姿に、僕は少しだけ和んでいた。
そうか、ここは・・・・・・・

俺にはどうやら想像力が足りないらしい。
この世界では想像が創造される。
そんなダジャレみたいな出来事が、当然のように起こる。
だがなんらかのルールはあるようだ。

まずはそれを知らなきゃなあ。
ルールを知るために動き出す物語。
そういうのも楽しいかもしれないなと感じた。

とりあえず俺にはアイルとえっちゃんという
この世界の友達がいる。
恋人と言ってもいい。
俺は恋人を一人に絞るというような
義理がたい信念は持ち合わせていないので、
なんとなくこのままでもいいような気がした。

(じゃあ・・)クワガタをどうするか僕は少し考えていた。
なんでもできるこの世界で、現れてくれた嬉しい素材だ。
僕はこのちっぽけな命を、どう作り変えることもできる。

とりあえず、人間にしてみるか。
僕は両手をクワガタにむけてかざし、
願った。
手からは光がこぼれおち、
クワガタを照らした。

みるみるうちにクワガタは膨張し、
頭に大きな角のついた
フードをかぶった大柄の男が現れた。
どうやらマントもついているらしい。

「私を生みだしてくれてありがとう」
クワガタは、お礼を言い、自分の名前を喋った。
ジャカフスタマン。それが彼の名前だった。
名前が長い気がするが、一応彼は正義の味方なのだという。
いわゆるヒーロー、スーパースターだ。

「何か困った時は、助けてくれよ。」
僕はそう言うと、彼は一度だけうなづき、地平線に向かって
飛び立っていった。

彼の出番は、本当に俺が困った時だけなのかもしれないなあ・・
アイルは遊ぶおもちゃ(?)がなくなってので少し寂しそうに
僕の服をつかんでいた。

そうか、楽しむものが必要だなあ。
でも何をすればいいんだろう。
僕は少し悩む。
僕はとりあえずブランコを作って、
それに乗ることにした。

ブランブランと揺れていると、なんとなく幸せな気持ちになった。
アイルも横でブランコに乗って、楽しそうだった。

そういえば、天国って所は何でもできるらしい。
なんでもできすぎて、逆に何もしたくなくなるのだとか。
実際俺が今そういう状態なんだろうなあ。
ブランコをこぎながら、僕はそんなことを考えていた。

そうだ、初音ミクを召喚してみよう。
彼女はネットの人気者だ。
アイルやえっちゃんなんかよりずっと、
イメージしやすいだろう。

だが、俺の手に負える存在だろうか。
そう思いつつも、とりあえず召喚してみることにしたのだった。


(20:57)