2013年02月02日

それはとてもでかい玉のようだった。
目の前に、転がっていたんだ。
僕とアイルは、一緒になってそれを転がした。
すると突然、玉がふわふわ浮きだした。

そして割れて、飛び出してきたのは・・
一匹の猫だった。
「吾輩は猫である。名前はまだない」
どっかで聞いたようなセリフをききやがる。

never ending storyが始まろうとしているのを感じた。
アイルは猫の頭を撫でていた。

僕はいろんなものを召喚できる能力を
持ったようだった。
なんてご都合主義な展開なのだろう。

とりあえずその力で、とりあえずテレビを出してみた。
ホワイトテレビ局、今日の天気予報は雷ときどき飴だった。
これはご変換なんかじゃないんだろうなあと。

そうだ、飴がふってくるなら痛いから、傘を作らなきゃな。
俺は召喚の魔法がまだ使い慣れていない。
傘を作ろうと思ったら、大きなドームができてしまった。
ああ、これはヤフオクドームに似た何かか。

ドームの中では、すでに野球の試合が始まっていた。
雷鳴と歓声が響き渡る。
観客も選手も白い色をしていた。

そういえばえっちゃんの姿を見ないな、
気付いてぼんやり野球を見ていると、
打者にえっちゃんが入っていた。

彼女は僕のほうをちらりと見て笑うと、
豪快に二回スイングしたあと、
降りぬいたバットは玉の核を当て、
こちらにボールが飛んできた。

ホームランだ。
逆転さよなら満塁ホームラン。
場外とまではいかないが、僕のところへやってきた。
僕は素手でそのボールをキャッチして、アイルに渡した。

すると突然、ドームの天井が壊れ始めた。
天気予報通り、飴が降ってきたのだ。
観客はどんどん消滅していく。
透明になっていくような感じだ。

「アイル、ぼくはどうしたらいい?」
どうでもいいような質問をしてみた。
「私はソーダ味の飴がいい。」
アイルはそう答えた。そうか、この娘は炭酸飲料が好きなのかもしれないな。

とりあえず飴の落ちてくる弾道を変えて、
ドームの中央にピラミッドみたいに積み重なるように
置いてみた。

俺はどうやら物質を移動させる力も持っているらしい。
まあ、なんでもありの世界だから当然かもな。
少しくらいルールというか、制限をつけないとやばいよなぁ・・
そんな心の声がしたが、
物語はまだ始まったばかりだ。

始めは適当でいいと俺は考えていた。
えっちゃんはソーダ味の飴を拾ってくると、
彼女特有のかわいい笑顔で僕達に微笑みかけてきた。

「ホームランおめでとう」
僕はそうささやくと、えっちゃんのおでこにそっとキスをした。
えっちゃんはほほを染めて笑っている。
彼女はソーダ味の飴をアイルに渡すと、
バットを振り回しながら踊り始めた。

なんだか不思議なダンスだなあ。
それを少し見ていると急に眠くなり、上質の
布団と枕を用意して、僕は眠りについたのだった。


(20:35)