2013年02月02日

極上のステーキが目の前に現れた。
食べるかどうか迷ってると、
えっちゃんが隣にきて、
僕の肩に手をまわす。

「一緒に食べようよ」
彼女はそう言うが、その美味しそうなステーキは
異彩な輝きを放っていて、どことなく僕を不安にさせた。
「よし、じゃあ毒見だ。えっちゃんが先に食べてくれ」
僕はそういって、ナイフを取り出しステーキをちょっと切ってそのまま
えっちゃんに渡す。

えっちゃんは嬉しそうにステーキをほおばった。

その瞬間、えっちゃんの綺麗な黒い瞳が赤く変わった、
やばい、と感じる暇もなかった。
その白銀の世界で、僕は吹き飛ばされた。
距離にして50mほど。
えっちゃんはドラゴンに変身していた。
ああ、おれは少し微笑を浮かべながら考えていた。

(食べなくてよかったなあ・・)
とりあえずドラゴンえっちゃんの頭の上に乗って、
火を噴く彼女に話しかけてみた。

「ねえ、どうやったら元に戻るの?」
それは神の味噌汁なのかもしれないな。
そうか!それだ。神の味噌汁を飲めば治る!
「えっちゃん、神の味噌汁はどこにあるの?」
僕はえっちゃんに尋ねる。
「あ・・あ・・」
えっちゃんはまだ言葉の出し方が分からないみたいだった。

「ああ・・・・・アンパンマソ・・」
しゃべったああああああああ!!
いやっほう!ってなわけで、僕はドラゴンを喋らせることに成功したのだった。

「アイヌの国にあるよ」
えっちゃんは言う。
一体どの辺だろう。
この世界に方角なんてあるのだろうか。

まあでも、目的地は決まったし、
いくとしようか。
やみくもに探せば、きっと見つかるはずだ。

えっちゃんはその大きな翼を広げ、空へと飛び立った。
そういやドラゴンって飛べるんだったなあ。

モンキー・D・ドラゴンの残像が空に映し出された。
ああ、ルフィの父親か。
そんなダジャレみたいなことをこの世界はやるのか。

なんてぼんやり考えていると、アイヌの国にたどりついた。
しかし、奇妙だ。人が皆白い。
輪郭はあるが、全身が白いからこの白い世界では
溶け込んでいるようだ。

それでも、僕らには気付いたみたいだった。
えっちゃんは火を吹いて、住民たちを燃やしていた。

すると彼らは喜んだ。
踊り出したのだ。

奥から色のある、一人の少女が現れた。
長い髪で前髪はパッツンだ。
その少女が何かをつぶやくと、えっちゃんは元の姿に戻った。

ああ、よかった・・・・・
えっちゃんは「いつでもドラゴンに戻れるよ」と笑っていた。
冗談なのか本当なのか分からなかったけど、
とりあえず僕も笑っていた。

要するに、ドラゴラムという呪文を使えるようになったと
いうことだろう。
結構便利な体になったなあ。

とりあえず元の姿に戻してくれた
少女にお礼を言った。
「名前はなんていうの?」
僕は聞いた。
「アイルだよ。この村の長。」
へぇ、ここは村だったのかあ。

僕はしばらくこの村に滞在することにした。


(08:06)